2016/08/01 グローバルアナリシス
(1) 「バーチャルなカリフ国」に変貌するイスラム国
6月はじめから7月はじめまでのラマダン期間、そしてその後の一ヶ月間、世界中で文字通りテロが吹き荒れた。この間、いくつかの大きなテロ事件については、その都度当レポートでも取り上げてきたが、最近起きた一連のテロを、大きな流れの中で整理していきたいと思う。
■一匹狼型テロの頻発
一つ目の傾向は、過激派イスラム国(IS)とは直接的な繋がりがなくても、ISの広報誌や宣伝動画などを観て自ら過激化してテロを行ってしまう、いわゆる「一匹狼型」のテロが増えているという点である。7月18日にドイツ南部ビュルツブルグの近距離列車内で、17歳のアフガニスタン人がナイフと斧で乗客に襲いかかったテロは、この種の典型的なタイプだと言える。7月26日にフランス北部ルーアン近郊のカトリック教会を襲い、司祭を刃物で殺害したテロもこの種のテロだと分類できる。また、あまり国際的な注目を浴びなかったが、6月13日にフランスのパリ郊外で警察官2名が刺殺されたテロも、ISの「テロを起こせ」という呼びかけに応じて個人がテロを起こした一匹狼型の攻撃であった。
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