2019/3/13 グローバルリスク・インテリジェンス
■ 中東で影響力を拡大させるロシアの現実主義
「中東にロシアが戻ってきた」と大きな見出しで米ワシントン・ポスト紙が報じたのは、昨年12月のことだった(i)。
この時までに、ロシアの中東における影響力の強さは、誰の目にも明らかに映るようになっていた。2015年9月にロシアがシリアに軍事介入をして以来、アサド政権は少しずつ確実に領土を奪還し、3年半が経った現在、シリアの反政府勢力は西部のイドリブを除いて壊滅状態になり、同政権を軍事的に脅かす勢力はほぼいなくなった。
ロシアは、“アサド政権の崩壊を防ぐ”という目標を達成しただけでなく、今やイスラエル、イラン、カタール、サウジアラビアやトルコへとその影響力を拡大させている。
とりわけトルコとイスラエルという米国の伝統的な中東での同盟国が、今や米国の指導者よりもプーチン大統領と頻繁に連絡をとり、緊密に戦略的な調整をしていることは、ロシアの影響力の高さを物語っている。
本稿では、米国が中東地域における影響力を低下させる中、ロシアがその戦略的な機会を巧みに掴み、伝統的な米国の同盟国を含めた様々な勢力との関係を構築して影響力拡大につなげている様子を、最近のロシアの対中東外交を通じて考えてみたい。
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